まったりと物を捨てることを考える(27) update ver.

2016年2月18日

ニュースによると、太宰治が『人間失格』を執筆したころに住んでいたという建物が移築されるということらしいのです。1936年の11月から約七カ月住んだといような下宿であります。東京の杉並区の天沼三丁目から大分県の由布院温泉に行くそうでありまして、文学関係の施設になるという話なのです。所有者の祖父が大工さんで、非常に結構な材木を使って建てたということで、もったいないし、今でも使えるということらしいのであります。


これを聞いて、やっぱりそう言うものかと思うのは、大工さんも材木を選びまして、自分のところならきちんと建てるものだということであります。テレビ番組の「大改造!!劇的ビフォーアフター」というようなものを見ると、いかにインチキな建材で作られている家が多いかと分かりまして、驚かされることばかりなのです。近所を見ていると、一軒の家が無くなったと思うと3軒くらいささっと建ててしまう業者がいまして、その場合だいたい建売住宅であります。


つまり、出来上がった状態で買いに来る客を相手にしているわけでありますから、ひょっとすると床下や壁の中までは見ないで買うのでありましょう。だとすると、床下や壁の中は藪の中でありまして、末恐ろしい結末が待っているかもしれないのであります。ともかく、ちゃんと作ればかなり長持ちするわけでありますから、何事も魂を込めるのが大切なのでありましょう。


沈丁花。じんちょうげ、と読みます。春先の花。

太宰治は東京に家を持っていた時もあるはずでありまして、成金の子息だったのであります。普通に学校教育をうけますと、教科書で習うのは『走れメロス』でありますけれども、それを習った結果、友情に篤いメロスを太宰治の分身として理解する人が多いことでしょうけれども、実は太宰治は左翼活動に参加していたのでありますが、ある時から特高警察と内通して、仲間内の情報を漏らしていたという話が猪瀬直樹さんの本で指摘されております。


そう言えば、三鷹に遠い親戚がおりまして、その家は太宰治が出入りしたことがあると聞いているんですが、そこのお父さんは思想犯として戦時中に拘束されたんじゃなかったかと思います。太宰治を疑ったという話はありませんでしたけれども、さほど親しくもないのに出入りして来て、やがて出入りされた側が警察に捕まったとなると、今から考えるとぞっとする話ではありませんか。その家は三鷹駅からジブリの森に至るちょうど中間でありまして、例の太宰治が水死した用水路に近いところであります。


30年くらい前にその家を訪ねると、夫を拘束されたことのある奥様がご存命でありましたが、やがて亡くなりまして、その葬儀の時にご子息がしたためた会葬者への礼状が先日出てきました。礼状の内容はかなり踏み込んだことが書いてありまして、身内に向けた内容ですからうっかり紹介できないものであります。子供が母親の窮状を思いやる内容であったとだけ言うべきでありましょう。断捨離したことで、思いがけないものが掘り起こされたものであります。


その筋に売るつもりで相手に近付かれたら、なかなかこっちは気づかないことでしょう。売られた結果、拷問されたりしたのであります。そこまで踏まえて、『走れメロス』を考えるなら、『走れ太宰治』を考る必要があります。『走れおさむ』という作品が裏にありまして、おさむは妹を結婚させて、そのあと王様の所には戻らないのであります。友達がどうなろうとへっちゃら、王様の言う通りの人間性だったおさむ。


2016年2月19日

今住んでいるところの日別の気象データというものが、国土交通省・気象庁のホームページで出て来るんでありますが、それで2月19日のところを見ると、1981年から2010年までの30年平均の値が示してあります。これによると、降水量は2・0㎜、一日の平均気温が4・8℃、一日の最高気温の平均値が10・1℃、そして一日の最低気温の平均がマイナス0・1℃なのであります。これに対して、本日の記録はどうなのかと言うと、これはアメダスによるもののはずですが、降水量は0㎜、最高気温が16・4℃、最低気温がマイナスの0・6℃でありまして、最低気温はほんのちょっぴり低温でありましたが、最高気温はぐんと高かったのであります。


ただ、喜ぶほどの暖かさではないのでありまして、オフィス街のサラリーマンは背広姿で歩いておりましたけれども、マフラーは絶対必要と思わせる冷たい風が吹いておりました。ひどく冷え込んだ日がありましたので、相対的にはめちゃめちゃ暖かいだけでありますけれども、半袖短パンで浮かれていられるような暖かさではまったくない、というのが実情であります。春は何時になったら来るんでありましょう。


春はここから。スイセンに花芽が付きました。

太宰治のことがちょっと話題になりましたけれども、さらに次女の津島佑子さんがなくなったというニュースが流れました。去年は又吉直樹さんが芥川賞を受賞した時に太宰治が好きと言うことで、なかなか太宰治に付いての話題が尽きないのであります。


夏目漱石、太宰治、そして三島由紀夫あたりが私にとっての小説家ということになるのかもしれません。この場合の小説家と言うのは、文庫本で買う対象と言うことでありまして、先日本を処分した時も、これらの作家の文庫本は捨てる気にならないので、イケアあたりで買ってきたボックスに収納しまして押し入れに再びしまい込んだのであります。


そう言えば、古本を処分しようとしてサイトを覗いておりましたら、処分しようと思う本は段ボール箱に入れて保管しておきましょうと、段ボールによる管理を推奨しておりました。本棚に並べたままで、さらに太陽の光に当たりまくっていては、売ろうにも売れない、というか業者としては日焼けした本なんか買わないぞと言うことであります。ところで、本が売れなくなっているというのはどうやら本当のことらしくて、中堅どころの取次が壊滅状態であるというようなニュースをちらりと見たのであります。その結果、取次から本を取り寄せていた書店の中に煽りを食らって廃業するところが出ているそうで、地域によっては主要書店がいきなり消滅したというような話が有りまして、さてどうなるのでありましょう。


おかしいのは、本屋が潰れて困った、Amazonで頼むと取り寄せた時の箱がたまってうっとうしいから頼りにしていたのに、というようなツイートが紹介されておりましたが、それって結局かなりの部分で以前からネットに依存して買っていたってことでありましょう。しかし、本屋もブックカバーをくれたり、書店の名前入りのビニール袋をくれたり、負けず劣らずではありませんか? 過剰なサービスは、ひどく儲かった時のままの商売を続けているということのようです。


今日ネットで注文して、明日の午前中に宅配便で届くのがもう普通であります。 

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