NHKの朝ドラを見ていて思い出したこと。

 昔のことですが、そうあれは大学生の頃でありますけれども、「おしん」という連続ドラマが大人気だった時、私自身は下宿の部屋にはテレビを置いていなかったので、たぶん見てはいないのであります。ただ、どういうわけか見ていた記憶があるので、放映期間が一年間というような長丁場だったために、実家に帰省した時期に見ていたのかもしれないのであります。思い出したのは、大学で授業を受けた後、教授に連れだって学生が食堂に行くということが何度かあって、その時のことであります。ちなみに、一般学生用は食堂のある建物の一階の広いところで、二階にその半分くらいの広さで、教授用のちょっとだけ値段の高い食堂があったように思うのです。高い分だけ手の込んだメニューがあるというような仕掛けで、教授となら入れるというルールだったような気がします。


  毎週、教授と飯を食うなんて、結構幸せ。


還暦を過ぎた教授ですけれども、元気はつらつとしていて、モリモリ肉を食うような人でありましたが、本人が言うには「デパートで見つけたうまい牛肉を手に入れていて、毎朝それを調理して食って来る」のだそうで、そんなことをうれしそうに語る先生でした。東京は下町の生まれ、生粋の江戸っ子みたいな方で、切れ味のある語り口の愛嬌のあるタイプであります。連続ドラマが人気ですねと、誰か学生が「おしん」を話題にすると、口に食べ物を頬張ったまま、「あれはけしからん」と怒鳴り始めるのでありました。教授が言うことには、「うちのかみさんがあのドラマにはまってしまい、ドラマが始まるとテレビの前にかじりついて、俺の世話をしないのだ」と言うのです。それくらい、「おしん」というドラマはあの当時の女性の心をつかんだわけです。


  教授自身は地方の農家の娘の波乱万丈には共感しなかったか。


この前までやっていた「カムカムエブリバディ」は、深津絵里さんが18歳から老人まで演じるというので、ついつい見てしまいました。悪人がほとんど出てこないという話の流れの中で、プロのミュージシャンになれなかった旦那様を、回転焼き屋を営んで養って行くという話だったのであります。そんな生業で食ってゆけるのかという世間の批判もあったようですが、そう言うのを聞くと、近頃ネットで発信する人が世間知らずだというのを感じたりしたものです。母譲りのおいしいアンコを作って毎日回転焼きを焼いたら、たぶん人並みに暮らせるものじゃないのかと思うんですが、どうなんでしょう。今なら回転焼き(大判焼き、きんつば?)一個は100円から120円くらいであります。1時間に10個売れたら10時間営業で100個。現金収入は10000円から12000円。原料の小麦粉と小豆とお砂糖の分を引いても、月の収入は20万円を超えることでしょう。物価の変動を考えても、昭和の時代なら暮らせただろうと想像します。店員を雇わずに旦那さんがお茶くみをしていれば、家族四人は貧乏ではあるけれど、貧困を味わうことはないのであります。


  NHKには「おしん」を見て声優体験のできるコーナーが昔あった。

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